2010.03.18 Afternoon 今回の改定で目を引くのは、後発医薬品調剤体制加算の三つの区分の新設、一包化薬調剤料の一包化加算への変更、明細書発行の義務化などでしょう。ただ、こうした目立つ変更の影に隠れていながら、意外と業務に大きくかかわるような細かい変更もあるようです。__ 例えば、薬剤服用歴管理指導料の算定要件の変更。これは、業務フローに重大な変化をもたらす可能性があります。以下は、改定の関連通知(平成22年3月5日保医発0305第1号)で定められた、算定要件となる薬歴への記録事項です。今回の改定で変更される部分を太字で示しました。__ ア 氏名、生年月日、性別、被保険証の記号番号、住所、必要に応じて緊急時の連絡先等の患者についての記録_ イ 処方した医療機関名及び保険医氏名、処方日、処方内容等の処方についての記録_ ウ 調剤日・処方内容に関する照会の要点等の調剤についての記録_ エ 患者の体質、アレルギー歴、副作用歴などの患者についての情報の記録_ オ 患者又はその家族などからの相談事項の要点_ カ 服薬状況_ キ 患者の服用中の体調変化_ ク 併用薬(一般薬医薬品、医薬部外品及びいわゆる健康食品を含む)の情報_ ケ 合併症を含む既往歴に関する情報_ コ 他科受診の有無_ サ 副作用が疑われる症状の有無_ シ 飲食物(現に患者が服用している薬剤との相互作用が認められているものに限る)の摂取状況_ ス 後発医薬品の使用に関する患者の意向_ セ 服薬指導の要点_ ソ 指導した保険薬剤師の氏名__ 注目したいのが、スの「後発医薬品の使用に関する患者の意向」です。これが薬歴の記録事項に追加されたことは、大きな意味を持ちます。__ というのも、患者さんに後発品使用の意向を必ず確認しなくてはいけなくなるということは、後発品推進の取り組みに、薬局の意思以上のものが要素として入り込む余地が広がることになるからです。薬局が「これを後発品に変えたい」「ここは先発品でいい」といくら考えていようが、薬剤服用歴管理指導料を算定しようとするのであれば、患者さんに必ず後発品への変更希望を聞かなくてはいけません。また、意向を確認するということは、これまで「後発医薬品への変更不可」欄に医師の署名があったため説明をしていなかった患者さんに対しても、後発品の説明をしなくてはならない、ということになります。__ 患者さんが薬局に用意していない後発品への変更を希望したとき、「後発品は用意していません」と答えるのは薬局の自由ですが、患者さんの希望に沿えなかったという事実が残ります。この記録事項の追加は、場合によっては後発医薬品調剤体制加算よりも強力な後発品使用の推進力となる可能性がありそうです。__ さらにもう一点。これらの記録事項に続く部分を引用します。__ 「エからスまでの事項については、処方せんの受付後、薬を取り揃える前に、患者等に確認するよう努めること」。__ 実は以前から「こうあるべき」と言われていたことなのですが、この記述は調剤手順の変更にも及んでくる大きな内容です。副作用や服薬中の体調変化など、これまで投薬カウンターで取り揃えられた薬を前にしていた会話を、処方せんを受け付けたときにしなくてはいけないということです。__ 対応するためには、薬局内での人の配置はもちろん、場合によっては薬局の構造にも手を加えなければならないケースも実際に出てくるでしょう。「努めること」と、現時点では努力義務として規定されていますが、次回、次々回改定の際にはもっと踏み込んだ表現が使われるかもしれません。__
今後、厚生労働省や日本薬剤師会から疑義解釈資料やQ&A集が出てきますが、今回紹介したような内容は既に関連通知などに書かれています。ぜひ、目を通してみることをオススメします。 「薬を取りそろえる前に患者インタビューを」 3月14日、じほう社主催の調剤報酬改定セミナーが行われ、厚生労働省保険局医療課薬剤管理官の磯部総一郎氏が、今回の調剤報酬改定のポイントについて解説した。磯部氏は冒頭で、「調剤報酬改定は、患者により良いサービスを行ってもらうために行うもの」と述べ、ハイリスク薬の服薬指導や、後発品の促進を手厚く評価するなど、対人業務に重きを置いたことを強調した。 セミナーの中で磯部氏は、対人業務を重視した改定の例として、「薬剤服用歴管理指導料」の算定時の留意事項の中に、「薬歴に記載する情報を、薬を取りそろえる前に、患者から確認するよう努めること」という一文を追加したことを挙げた。__ (問)薬剤管理指導料の「2」の対象となる医薬品の範囲については以下の考え方でよいか。 _ 「抗悪性腫瘍剤」には、薬効分類上の腫瘍用薬のほか、インターフェロン、酢酸リュープロレリン等の悪性腫瘍に対する効能を有する薬剤が含まれる。 _ 「免疫抑制剤」には、副腎皮質ステロイドの内服薬及び注射薬も含まれる。 _ 「血液凝固阻止剤」には、血液凝固阻止目的で長期間服用するアスピリンは含まれるが、イコサペント酸エチル、ベラプロストナトリウム、塩酸サルポグレラート及び鎮痛・解熱を目的として投与されるアスピリンは対象外である。 (答) その通り。
(問)薬剤管理指導料の「2」は、抗悪性腫瘍剤等の薬剤に関し、薬学的管理指導を行った場合に算定することとなっているが、その算定日は対象となる薬剤の投与開始後でなければならないか。また、投与開始前に当該薬剤に関する指導を行った場合は投与前であっても算定は可能か。 (答) 患者に対して当該抗悪性腫瘍剤等を使用することが決定された日以降であれば算定は可能。
(問) 区分番号B008薬剤管理指導料の2の算定対象となる「特に安全管理が必要な医薬品」のうち免疫抑制剤には、トシリズマブ及びアダリムマブが含まれるのか。 (答) その通り。
(問) 薬剤管理指導料の「2」の対象となる「精神神経用剤」には薬効分類112に属する「催眠鎮静剤、抗不安剤」は含まれるか。 (答) 薬効分類117に属する「精神神経用剤」のみが対象であり、薬効分類112に属する「催眠鎮静剤、抗不安剤」は含まれない。
(問) 薬剤管理指導料の「2」の対象となる「免疫抑制剤」には、抗リウマチ薬のうち、メトトレキサート、ミゾリビン及びレフルノミドは含まれるが、金チオリンゴ酸ナトリウム、オーラノフィン、D−ペニシラミン、サラゾスルファピリジン、ブシラミン、ロベンザリット二ナトリウム及びアクタリットは含まれないという理解でよいか。また、インフリキシマブ及びエタネルセプトについては含まれるという理解でよいか。 (答) その通り。 |
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